「こんなときどうする」シリーズでは、美湖エンジニアリングが国産薪ストーブの開発を通じて経験してきた失敗や改良・改善の積み重ねを元に、安全に薪ストーブを楽しむためのポイントを紹介しています。

薪ストーブは、上手に使うことで長く快適に楽しめる暖房器具です。エアコンや石油ファンヒータにはない癒しの空間も演出してくれます。しかし、バランスの良い使い方をしないと、薪ストーブライフが台無しになってしまいます。

薪ストーブだけでひと冬を過ごそうとすると、そのランニングコストは意外に高くなります。薪の消費量を抑えて効率的な薪ストーブライフを送りたいものです。

最も重要なのは薪の乾燥状態

薪は15%未満のものを使いましょう。乾燥期間の目安は、少なくとも1年以上しましょう。乾燥次第で薪の消費量が変わります。これは、水分の多い薪ほど燃焼する時に発生する熱エネルギーが薪の水分蒸発に熱エネルギーを使ってしまい、暖房に寄与する熱エネルギーが減ってしまうことで薪の消費量が増えてしまうからです。つまり、含水率の低い薪(よく乾燥した薪)ほど、暖房に寄与する熱エネルギーが効果的に使えることとなり、薪の消費量が減るというわけです。よく乾燥した薪を使うことが、薪の消費量を抑えることとなります。

弊社の薪ストーブ開発時の実験でも、乾燥期間半年(未乾燥薪)と乾燥期間1.5年以上(乾燥薪)の燃焼時間等の比較テストをしました。

その結果、乾燥薪は未乾燥薪に比べ、天板温度が200℃に達する温度は平均で約20%短くなり、熾火になるまでの平均時間も約20%伸びました。また、煙も未乾燥薪の方が多く、乾燥薪の灰はさらさら、未乾燥薪は残り炭が多くありました。乾燥薪がいかに薪消費量を抑え、煙を抑えるかは歴然としていました。

次に重要なのは

薪ストーブの使い方でも薪の消費量は左右されます。常に控えめな運転(薪の入れ過ぎ注意)を心がけましょう。そして、エアコンとの併用運転が現実的な薪ストーブライフといえるでしょう。薪の消費量も抑えながらエアコンの電気代も抑えられます。

Q1;未乾燥薪の水分って何?

A1;

未乾燥薪中の水分は「自由水」と「結合水」に分かれます。これは生物全てに言えますね。自由水は細胞のスキマに存在し、乾燥すると最初に失われます。結合水は細胞壁内に浸透しており、自由水が抜けた後に徐々に乾燥します。少し怖い表現をすると「ミイラ状態」になるということです。

Q2;水分の多い部位や樹種はあるの?

A2;

薪に含まれる水分は、樹種や木材の部位によって異なります。外側の辺材(丸太の断面で皮の内側の白っぽい部分)は水分を多く含み、内側の心材は水分が少ない傾向があります。針葉樹は特に辺材の含水率が高く、広葉樹は樹種によって様々で、一概には言えません。

Q3;どのような乾燥段階があるの?

A3;

木の伐採直後は、木の質量に対して水分が60〜150%程度含んでおり、自由水と結合水が多く含まれています。乾燥が進むと自由水が抜け、水分は50%以上の状態になり、さらに結合水が乾燥すると水分は30%程度まで下がり、最終的に空気中の湿度と平衡状態になった乾燥薪は約15%になります。ここまでなるには自然乾燥で約1.5年が目安です。

皆さまのご参考になれば幸いです。これからも順次紹介いたします。

美湖エンジニアリング

代表 神林寿英

国産薪ストーブの開発・製造に携わり、安全性について数多くの試験・改善を重ねてきました。開発時の経験や失敗、または文献から得た知見を元に、薪ストーブをより安全に長く楽しむための情報を発信しています。

美湖エンジニアリングは、国産薪ストーブの開発・製造を行なっています。薪ストーブ選びや設置についてもご相談ください。

 

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