国産薪ストーブ開発当時から現在に至るまで、私の失敗や経験を元に、「こんなときどうする」を綴っていくシリーズです。「ありゃ!どうしよう」をまとめてみました。

前回は、薪の組み方によるリアル失敗談に対する対策でしたが、今回は薪の組み方以外に「こんなこと起こるのではないか」を想定して、実際に失敗原因を再現して対策を提案してます。ご参考ください。

【失敗談】

いつものように薪を組み、扉を閉めて火が大きくなるのを待っていましたが、全然大きくならず、約3分後に消えてしまいます。薪はちょうどよい組み方をしているのに「ん?」思いつつも再着火して、薪ストーブの扉を少し開けて火が大きくなるのを待っていたら、今度はチロチロとした火が続きましたが、やがて煙が大発生し、慌てて扉を閉めると、くすぶり状態になり、薪ストーブの扉を再度開けたら煙が逆流しました。

【原因1】給気調整レバーを閉じたままだった

⇒これはよくやる失敗です。薪を入れるのに集中して、開け忘れというものです。燃焼用の空気が不足して不完全燃焼を起こし、火は大きくならずくすぶってしまい煙が発生してしまいます。気をつけましょう!

【対策1】ずばり、着火時は給気調整レバーを全開にしましょう。ストーブによっては「少し扉を開ける」というものもありますので、メーカの取扱説明書をご確認ください。弊社の薪ストーブは給気レバー全開だけで扉を開ける必要はありません。

 

【原因2】火格子、燃焼室天井部仕切板、排ガス仕切板等の部品が正しく装着されず、スキマやズレがあった。

⇒あまりない失敗ですが、メンテナンス等で分解・復旧した後にまれにやってしまう失敗です。この場合、空気や排ガスが変な流れをして火が大きくならず煙が発生する場合があります。煙発生以外に、運転中に脱落や変形することもありますので、十分注意してください。

【対策2】取扱説明書を見て正しく装着しましょう。弊社のストーブの場合、2~3mmほどのズレは大丈夫です。

【原因3】薪が湿っていた

⇒1年以上乾燥していない薪、雨などに濡れた薪、生木を燃やすと煙が大発生します。この失敗も時々あります。この失敗は、特に煙が大発生しますので、十分注意しましょう。ご近所様にも迷惑をかけてしまいます。

【対策3】1年以上乾燥した薪を使用してください。雨等で濡れた薪は、2~3日乾燥させてから使用する。含水率20%以下をお奨めします。薪棚に積んである薪の入手時期に応じて「どれぐらい乾燥した薪でどこから順番に使っていくか」をしっかり把握し、管理することが大切です。

【原因4】灰をためすぎて燃焼室に空気が入りにくくなっていた

燃焼室底部に灰の厚さが3cm以上あると、燃焼用空気穴を閉塞気味になり、空気が流れにくくなり不完全燃焼を起こし、火は大きくならずくすぶってしまい煙が発生します。

【対策4】灰は保温性があり、燃焼室が冷めにくくする効果があります。全て除去するのではなく少量の灰を残すようにしましょう。燃焼室底部に灰の厚さ1~2cmが目安です

【原因5】室内の換気扇が作動していた

⇒最近の住宅は気密性が高く、換気扇が作動していると、薪ストーブの着火時に、煙が煙突に導かれず、室内に逆流する場合があります。

【対策5】着火時は換気扇を止めたり、室内給気口を開けたり、家の窓を少し開けたりしてください。室内の負圧状態が解消され、薪燃焼による煙突の自然の上昇気流による排気の力が戻ります。ただし、煙突や炉の中が十分暖まっていない時に扉を開けた場合にも、煙が戻ることがあります。

薪ストーブは燃焼空気を取入れて、煙突から排ガスを放出していますので、実は換気扇の機能もあります。実は暖房付き換気扇なのです。どうしても台所で換気扇が必要な時は、薪ストーブの炎が大きくなるまで待っていただくことをお奨めします。

外気導入型薪ストーブの場合、換気扇が作動していても運転可能です。

 

【原因6】煙突がススなどで閉塞していた

⇒これは「着火しにくい、煙逆流」以前に重大な事故につながります。煙道火災リスクが高くなりますので気をつけましょう。煙突が詰まると燃焼用空気が薪ストーブに入りにくくなり、不完全燃焼を起こし、火は大きくならずくすぶってしまい煙が発生してしまいます。

【対策6】煙突を掃除してください。定期的な煙突掃除は大変重要ですので、必ず行うようにしてください。毎年掃除がお奨めです

 

「着火後、数分で火が消える」という現象に対して、実際に原因を再現して実証確認で得られた対策により失敗は避けられるのではないでしょうか。これからも順次アップデートしていきます。ちなみに失敗再現の実験は大変でした。

皆さまのお役に立てれば幸いです。これからも順次紹介いたします。

美湖エンジニアリング

代表 神林 寿英