
平素より、美湖エンジニアリングのホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
このシリーズは、弊社薪ストーブの開発時から現在に至るまでの数々の失敗話を「失敗は成功の母」をコンセプトに綴っていこうと考えています。
また、私の個人的見解とともに綴っていますこと、予めご了承くださいませ。
薪ストーブは、薪をくべるひと手間が醍醐味の一つです。前回投稿の失敗話【第9回】は「薪の入過ぎ失敗」でしたが、今回は「薪がくすぶって燃えない失敗」です。
ご経験のある方もいらっしゃると思いますが、煙がめちゃくちゃ出ますし、改善するのに労力と時間がかかりますね。また、煙がご近所迷惑にもなりかねません。
「え!そんな失敗したことない?」まあ、聞いてください。
私は、うっかり薪を入れるのを忘れてしまい、熾火が半分ぐらい灰になった状態で普通に薪を追加してそのまま様子見していましたが、「なんかおかしい」と思い、5分ほど薪をひっくり返したり、出したり入れたり奮闘(妻は何してんの?と冷ややかな目)。結局、何が原因かもわからず、そこで妻がひとこと。「いじり過ぎて、燃焼室冷えてるからやん」でした。それから、妻にバトンタッチ。妻は入っている燻ぶった薪をそのままに、熾火がいちばん赤くなる空気の量を調整しながら、熾火に小さな細木をくべて小さな炎を作り、また別の小さな熾火に同じように小さな炎を作り、やがて見事に薪全体に炎を復活させたのです。さらに、どや顔で一言「もう少し考えなさい!」と叱られました。
私が経験した追加薪を入れたときの「大なり小なりくすぶってしまう」場面は、
① 熾火が燃焼室内にほとんどないのに、普段どおりの薪を入れたとき
② 熾火に対して薪を入れ過ぎたとき
③ 燃焼室内に灰が堆積(5cmぐらい堆積。この場合焚き始めの着火もしにくい)
④ 表面が濡れている薪を入れたとき
⑤ 未乾燥薪や生木の枝等を入れてしまったとき(まだ燃焼薪がある状態でも熾火でも)
でした。
未乾燥薪、生木を薪ストーブ内に炎がある状態で入れて「ひょっとして燃えるかも」と考えてしまう方もいるのではないでしょうか。これはNGですね。燃焼室内は急激に温度が下がり、炎も小さくなり煙が大発生する傾向に陥ってしまいます。もちろん煙突からは煙がもくもく出ているでしょう。乾燥薪でも熾火の状態によっては、くすぶってしまいます。
そこで、私は、乾燥薪が前提で、できるだけくすぶらないように以下のようなルールを作りました。
| 項目 | 内容 | 目安 |
| 入れるタイミング | 赤々とした熾火が燃焼室内の底部分の約半分以上あり、炎出ていなくてもよい | 前に薪を入れてから約1時間以内 |
| 薪の樹種 | 針葉樹の細薪~中薪ぐらい1本と広葉樹中薪~太薪1~2本 | 約1.5~1.8kg |
| 薪の形 | 割られているもの割られていないものどちらでもよい | どちらも直径10cmあるいは一辺がぐらいまで |
| 入れるとき | 着火しやすい針葉樹を下入れ、その上に広葉樹を入れる |
以上のように少し考慮すれば、「くすぶり」も煙も極力抑えることができます。
また、熾火がとても小さくなってしまったら、前述の妻が施したように、薪を入れるのではなく、細木を熾火において小さな炎を作り、徐々に大きくしていくことが「いちばん」です!
弊社は、実験段階で薪を入れた後の燃焼室内温度をサーモグラフィで計測したところ、熾火状態の燃焼室内温度が約500℃に対し、未乾燥薪を入れた場合、約250℃急激低下、乾燥薪でも約100℃低下しました。この数値は重要でなく、「薪を入れると燃焼室内温度は下がり、未乾燥薪は大幅に温度が下がる」という傾向はつかんでいましたが、私はそのことを理解せず、うまく活用できていなかったのです。
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私は、水分を多く含む薪や、燃焼室内の熾火に対して大きな薪の投入は、燃焼室内温度が大きく低下させ、水分を多く含んだ薪は、薪自身の温度上昇を抑えてしまい、炎に包まれることなく薪表面のいぶされた木炭ガスと、水分蒸発がくすぶった状態を発生させて煙発生に至ると推察しています。
少し小難しい話になってしまいましたね。
天板温度を目安に樹種を混ぜて薪追加量を変えており、薪を入れるタイミングも弱火になったときや、熾火になってから入れたり様々です。そんなわけで皆様も気をつけてくださいね。
針葉樹は、本当によく燃え上がりますね。火力も強く、すぐにストーブは暖まりますが、火持ちが悪く、多くの薪ストーブユーザに敬遠されがちです。
しかし、森林組合や製材所等で扱っている樹種の多くは、針葉樹です。その間伐材、未利用材が大量にあります。私は、この針葉樹を燃料として利用することが、地方の循環社会、地産地消につながるものと考えています。
敬遠されがちな針葉樹ですが、弊社は場面に応じた使い方(針葉樹と広葉樹を混合した投入方法等)を提案して、できるだけ再利用していきたいですね。
他にも失敗談がありますので、順次紹介しますね。
美湖エンジニアリング
代表 神林 寿英

