
こんにちわ、美湖エンジニアリングの神林です。
平素より、美湖エンジニアリングのホームページをご覧いただき、誠にありがとうございます。
このシリーズは、弊社薪ストーブの開発時から現在に至るまでの数々の失敗話を「失敗は成功の母」をコンセプトに綴っていこうと考えています。
また、私の個人的見解とともに綴っていますこと、予めご了承くださいませ。(笑)
お題;煙もくもく
使った薪ストーブ;薪ストーブ要素試験機、及び試作機「すみれタイプ」
起こったこと;
それは、寒く風の強い日でした。
私は、いつもの燃焼実験のため、細薪を井形に2段組み+一番上に細木を1段組みして給気口は全開にして準備が整い、早速着火(上段着火)して扉を閉めて火が大きくなるのを待っていましたが、全然大きくならず、約3分後に消えてしまったのです。
「ん?」思いつつもなんとなく再着火して、今度は薪ストーブの扉を少し開けて火が大きくなるのを待っていたら、今度はチロチロとした火が3分ほど続きましたが、煙が大発生し、慌てて扉を閉めると、またしても火が消えて煙だらけに。
そして、薪ストーブの扉を開けたら一気に煙が逆流して実験部屋も煙だらけになってしまい、実験どころではない状態となってしまいました。
炉内にくすぶる細木を取り出して消火し、実験場の全ての窓も開けて煙が消えるまで待ち続けることとなってしまいました。寒い日に窓全開ですよ。実は、今回のような失敗を開発期間の約2年間で少なくとも5回ほど繰り返していました。
推定原因;
なぜこんなことになったのでしょうか。そこで、この失敗原因を考えてみました。
失敗1;
焚き始めの井形組みが小さく(薪が細く、段数が少なかった。上部の細木の数も少なかった)そのため、着火時の火が横に広がらなかった。
失敗2;
着火時は薪ストーブ内の炉壁も冷たい。井形組が小さいため、周囲の冷たい空気が火の広がりを抑えてしまった。
失敗3;
井形が小さくスカスカで、炎による横へ広がる力を失い、燃えている箇所が小さいにもかかわらず空気が過剰に供給されて、くすぶりが発生し、結果的に煙が広がってしまった。
以上のように様々な失敗が重なってしまいました。これらの失敗をつなぎ合わせてみると、次のような失敗メカニズムを推定しました。
失敗のメカニズム;
井形組みが小さく間がスカスカのため、火が広がらず煙突内の冷たい空気を暖めることができず、ドラフト効果(暖かい気体が上昇しようとする現象)が得られず、煙突内の冷たい空気がふたのようになり、くすぶった薪から発生する煙が薪ストーブ内にとどまり、扉を開けたときに部屋に煙が広がった。
以上のように推定しました。では対策はどのようにしたらよいのでしょうか。
対策1;
着火時の井形組みは、井形の最下段は中薪2本。その上に細薪2段組み、その上に細薪1段。その上に細木を3本井形で2段組む。高さは約15~20cmにして、上から着火。

対策2;
井形組みスカスカにしない。中薪、細薪の間は指1本巾ぐらい開ける。細木は火が広がりやすくするように3本井形になるようにする。
対策3;
着火3~5分後後、火が上から下に降りて横への広がりを確認する。万一、降りていかない場合は、細木を1~2本炎の上にのせて炎を大きくさせる。

対策4;
炎が炉内を横に半分以上広がったら、給気調整ダンパをお好みの開度に絞る。弊社の薪ストーブの場合、最小まで絞る。
このように改善した結果、同様に失敗は、ほぼなくなりました。どれが正解というものはありませんが、お使いいただいている薪ストーブに合った薪の組み方があると思います。
試行錯誤を繰り返して、着火成功の方程式を見つけていただくことが肝要です。私の着火失敗も参考になれば幸いです。
開発過程で、他にも失敗談がありますので、順次紹介しますね。どうぞご期待??ください。
美湖エンジニアリング
代表 神林 寿英

